沖縄から始まった梅雨入りは、例年よりかなり速いペースで列島を北上し、16日には東海まで達した。関東地方はいつになるのか。連日のすっきりしない空模様は既に梅雨の気分である▼梅雨前線が活発化すれば土砂災害が心配になる。県考古学会顧問の塙静夫(はなわしずお)さん(89)が先日「栃木の地名 先人がのこした危険な地名を探る」と題して県立博物館で行った講演は示唆に富んでいた▼例えば、川の氾濫で土手や堤防が押し切られるとの意味の「押切(おしきり)」という地名は、県内あちこちにある。度重なる浸水被害を受けた小山市押切の、杣井木(そまいぎ)川流域の住民有志が2月に、安全な場所への集団移転要望書を小山市長に提出したのは記憶に新しい▼2019年の台風19号で、大規模な浸水被害が発生したJR宇都宮駅西側の、田川に架かる宮の橋下流一帯は、室町から江戸時代にかけての記録にその地名がある。現在は大通り3丁目などに変わり、かつての地名を連想するのは難しい▼「欠」や「掛」が入った地名は崩壊地を意味するため要注意。「谷地」「谷津」は豪雨の際に一帯が冠水しやすい地であり、「梅」は「埋」の字を嫌って当てたという▼これから本格的な大雨シーズンを迎える。「地名の由来を正しく理解すれば自然災害は事前に防止できる」という塙さんの指摘に耳を傾けたい。