塩谷町のワクチンの集団接種会場で受付をする人たち。予約が必要なく、混乱なく進んでいる=19日午後、塩谷町船生

 新型コロナウイルスワクチンの接種予約を巡り、多くの自治体で混乱が続く中、栃木県塩谷町は集団接種の日時を町が指定する方法を採用したため、混乱なく順調に進んでいる。事前の予約はいらず、接種の希望を伝えるだけで受けられる。この方法で集団接種をするのは県内で唯一。高齢者は「分かりやすくてありがたい」と歓迎する。対象となる65歳以上の高齢者への接種は7月末までに完了する見通しだ。

 町の集団接種は今月12日から始まった。町生涯学習センターで水、木曜日に各200人、土曜日は400人を上限に接種する。

 全高齢者約4200人には4月に接種券と予診票、接種を希望するか意思表示するための返信用はがきを送付した。結果、8割超の約3500人が接種を希望したという。

 町は全54行政区に応じ接種日時を割り振った。玉生、船生、大宮の旧3村が合併して町ができた経緯から「偏りが出ないように勘案した」(同町)という。

 がんなどの集団健診でも日時を指定する方法を採用しており、そのノウハウを生かした。接種日の2週間前に日時の案内を送付し、都合が悪い場合は別日への変更も可能。会場まで向かうのが困難な人には送迎車も用意した。

 杉本宏之(すぎもとひろゆき)副町長(62)は「電話やネット予約の手間を省き、安心してスムーズに接種を受けてもらいたかった」と説明する。

 19日に1回目を受けた同町佐貫、主婦斎藤由紀子(さいとうゆきこ)さん(71)は「予約がいらず、ありがたい」。同、主婦植木光子(うえきみつこ)さん(73)は「パソコンがない高齢者もおり、ネット予約は不親切。日時指定は一番いいやり方だ」と話した。

 ただ、行政区によっては接種が遅くなるため、「もっと早くに打ちたい」といった声は一部にあるという。杉本副町長は「受けたい方は7月までに必ず受けられる。安心してお待ちいただきたい」と理解を求めた。

 一方、「平等性」を重視した県内の他自治体は、先着順となる電話やインターネットの予約を採用した。だが、「早く接種したい」と思う人が殺到したことで、混乱が生じた。

 杉本副町長は「日時指定は、塩谷町の人口規模だからできる方法でもある」と語り、地域の実情に応じた接種の重要性を訴えた。