【足利】市は16日までに、経済的困窮などさまざまな問題を抱える母子家庭を保護し、自立を促す母子生活支援施設「さわらごハイム足利」を年度末で廃止する方針を決めた。施設の老朽化が理由。児童福祉法に基づく同施設は、県内に3カ所しかなく、県外を含め広域的に対象者を受け入れている。新型コロナウイルス禍で母子家庭を取り巻く環境は厳しさを増しており、識者からは「女性の自立支援に一番役立つ施設を今なくす理由が分からない」と存続を求める声が上がっている。

 さわらごハイム足利は1940年、旧母子保護法に基づく母子寮として開設された。現在は所長を含む保育士、社会福祉士、教員免許を持つ相談員など6人の専門職員が入所中だけでなく、退所後の支援にも取り組んでいる。

 1日現在の入居者は4世帯9人。計20世帯が入居できる現在の施設は2棟あり、65年と75年の建設。いずれも築50年前後が経過した。市児童家庭課は「老朽化のため、利用希望者が施設見学後に入所を断るケースが急増している」と話す。

 廃止後は同課に設置した子ども家庭総合支援拠点に専門職を手厚く配置し、母子世帯の支援強化、母子世帯が優先入居できる市営住宅への入居の勧めや情報提供に努めていくという。

 困窮した女性の保護や自立支援に取り組む認定NPO法人ウイメンズハウスとちぎの中村明美(なかむらあけみ)顧問は「さわらごハイムの廃止を聞き、困惑している入所者もいるようだ。離婚、未婚の母となるなど、経済的に困窮し支援を必要としている女性は多い。こうした母子が安心して安全に暮らすため、母子生活支援施設は今だからこそ大切だ」と、市に対し再考を求めている。