コロナ禍が収まらず景気は下向きだが株式相場は堅調だ。2月に約30年半ぶりに3万円の大台を突破した日経平均株価は、高値圏にとどまっている。株高はせめてもの救いなのだろうか▼そうではないという声が市場から聞こえてきた。しかも顧客の資産を預かって運用する投信会社からだ。資産運用に当たっては、理由はどうであれ、株価は高い方がいいと思っていたが…▼「コロナで苦境に立たされている企業や個人が居ます。一方、株式市場や暗号資産、アートや高額消費は堅調です。金融緩和は世界をどこに導いているのでしょう。どうぞ皆さん、歴史的に異次元となった金融市場を楽しんでください。私たちは遠く(実体経済)から見守っています」▼さわかみ投信が全国紙の10日付朝刊に出した1ページ広告に記されたメッセージだ。顧客から問い合わせが相次いだのは当然だろう▼「実体経済と乖離(かいり)した株高のおかしな状況に気づいてほしかった」と澤上龍(さわかみりょう)社長。説明するとおもしろくなくなる。だから誤解されるのを織り込んで、あえてインパクトのあるメッセージにしたという▼「実際の経済活動を反映していない金融市場の異様な状況について一般の人々が疑問を持つきっかけが提供できたのなら、今回の広告に意味はあったのではないか」。思いは伝わっただろうか。