県医師会の稲野秀孝会長

 高齢者が新型コロナウイルスワクチン接種の予約を取りにくい状況が続く中、栃木県医師会の稲野秀孝(いなのひでたか)会長(65)は「ワクチン予約難民とならないよう、行政は困っている人の声をきめ細かく拾い上げていくべきだ」と訴えた。予約できなかった高齢者は孤立感や焦りを抱えがち。大半の市町は、高齢者の多くが不得手なネット予約を取り入れているが、稲野会長は「高齢者目線」の重要性を強調した。

 多くの市町は接種の予約をネットと電話で受けており、ネット予約は子どもや孫などに操作してもらう高齢者が多い。相談できる人がいない高齢者は電話を頼るほかないが、各市町ではコールセンターに電話が集中し、つながりにくい事態が相次いでいる。

 稲野会長は「予約ができない無力感から怒りや焦りを感じる高齢者もいる。孤立していると感じ、ふさぎこむ場合もある」とみる。かかりつけ医が既に予約でいっぱいで接種できないこともあり「落胆している人もいる」と話す。

 宇都宮市の場合、市が公表した「個別接種が可能な医療機関」の一覧は、事前に公表に同意した機関が載っており、不掲載でも接種に対応する機関もある。ネット予約が完了したかが分かりにくいケースがあり、各医療機関に予約を確認する電話もあるという。

 「高齢者が安心してワクチンを接種できるよう接種計画や予約体制を修正する必要がある」と強調した。

 政府は高齢者へのワクチン接種を7月中に完了させたいとしている。「かつてない大規模接種で各市町の苦労も分かるが、いずれも政府の目標に応えようとしており、100%不備がない接種は難しいだろう」とした上で「予約の支援など、不安を取り除くような行政側の取り組みが必要なのではないか」と話した。