高齢者を対象とした新型コロナウイルスワクチン接種の予約を手伝うさくらがおかクリニックの職員=12日午後、宇都宮市桜2丁目

 高齢者を対象とした新型コロナウイルスのワクチンを巡り、個別接種の会場となる地域の医療機関に、予約を求める住民からの問い合わせが相次いでいる。各市町のコールセンターに電話がつながらない上、かかりつけ医でないと予約ができない自治体もあり、混乱の要因となっている。中には直接来院し、予約を直談判するケースもあり、医療機関は「想定外」の対応に苦慮している。

 「先生のところでワクチンを受けたいのですが」。宇都宮市がコールセンターとウェブサイトで予約を受け付けた1日以降、同市桜2丁目の「さくらがおかクリニック」には、接種券を手にした高齢者が1日当たり5人以上訪れる。

 依田祐輔(よだゆうすけ)院長(54)は「想定外の多さに驚いている。接種は早い者勝ちと勘違いし、多くの高齢者がパニックに陥っているのではないか」と推測した。職員が高齢者のウェブ予約を手伝い、すでに数十人分を予約した。

 同市の接種予約は、コールセンターへの電話かウェブが原則。5月17日から市内約250の医療機関でかかりつけ医などによる個別接種を行い、集団接種も予定する。しかし依田院長は「集団接種の実施情報が高齢者に伝わっていない印象がある」と語った。

 市内の別の医療機関にも問い合わせが連日続いている。担当者は「通常業務と平行して対応しており、スタッフが少ない診療所は負担が大きい」と明かした。

 大田原市は個別接種の場合、高齢者が各自で医療機関に申し込む。ただ、かかりつけ医への予約が原則となっており、「年に数回受診している病院をかかりつけ医だと思っていたら断られ、集団接種に回された」といったトラブルが医師会に寄せられている。

 真岡市の個別接種も医療機関への申し込みが必要で、かかりつけの患者だけのケースや、初めての患者も受け付けるケースがある。医療機関の判断で対応が異なるため、戸惑う高齢者もいる。

 個別接種が中心の日光市は、市内38の医療機関が対応する。予約窓口は個別の医療機関、市のコールセンターなどまちまちだ。

 市のコールセンターで予約を受け付けている同市今市の「阿久津医院」。予約受け付けが始まった10日から問い合わせが相次ぎ、「うちでは予約は受け付けていない」と伝えても食い下がる人がいたという。

 同市の担当者は「医療機関に迷惑を掛け、申し訳ない。コールセンターは少しずつつながりやすくなっていると思う」と話した。