関東一円を襲った1923年の関東大震災直後、諸外国の中でいち早く支援活動に乗り出したのはベルギーだったという。駐日大使の呼び掛けで救済委員会が発足し、現在の金額で約7億円の支援金が集まったと、元県職員の飯野達央(いいのたつお)さんの著書「天空の湖と近代遺産」にある▼日光・中禅寺湖畔にあるベルギー大使館別荘は震災の5年後、大倉財閥2代目でホテルオークラ創始者の大倉喜七郎(おおくらきしちろう)が建て、ベルギーに贈った。「重要な取引国だったことに加え、震災支援を恩義に感じてのことでしょう」と飯野さんは解説する▼別荘は築90年たった今もなお現役で使われており、6月にはデスティネーションキャンペーンの一環として特別公開された。窓から望む湖面の美しさを堪能した県民も少なくないだろう▼そんな浅からぬゆかりがある二つの国が3日未明、W杯というサッカー最高の舞台で対峙(たいじ)した。初の8強入りを目指す日本に対して、相手は大会屈指の攻撃力を誇り22戦無敗の「赤い悪魔」である▼後半早々、日本代表の2得点には列島中が沸いた。最後は地力の差を見せつけられた形だが、眠い目をこすりながらも観戦した価値は十分にあったイレブンの戦いぶりだった▼サッカーを通してより身近となったベルギー。歴史も踏まえ、さまざまな分野の交流につながればいい。