臨時に増設したコールセンターで予約を受け付ける日光市職員ら=10日午前、日光市役所

 高齢者を対象とした新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、栃木県内の各市町のコールセンターに予約の電話が殺到し、予約できなかった住民らから苦情や問い合わせが相次いでいることが10日、各市町への取材で分かった。希望者に対する電話回線の不足などが理由とみられ、各市町は急きょ、回線数を増設するなどの対応をした。前例のない大規模接種だけに、現場は手探りが続いている。

 「仕事そっちのけで一日中電話をかけたりしたが、一度もつながらなかった。どうなっているのか」。栃木市柳橋町、パート男性(68)は怒りを通り越してあきれた。

 6日午前9時の受け付け開始から職場の若者に頼みインターネットで手続きを2時間以上試みたが、途中で手続きが進まなくなった。諦めて電話に切り替え5時間以上、数分おきにかけ続けた。「本当は受け付けていないのでは」という疑念すら湧いてきたという。

 矢板市片岡、男性(80)も2日間電話し続けたが、実らなかった。「一斉に電話で受ける以外にやり方はなかったのか。孫や家族にうつしたくないから早く打ちたい」と憤った。

 10日までに予約を受け付けた小山市や矢板市、大田原市などでは、代表電話や他の課にまで「つながらない」など苦情や問い合わせが押し寄せた。役所に来庁する市民も相次いだ。

 市長が混乱を陳謝した小山市を教訓に、回線数を8から12に増やした栃木市でも、苦情を含めた問い合わせが約2500件あった。担当者は「予想以上だった。ワクチンへの関心の高さ、確保数が少ないという印象もあったのかもしれない」とした。

 下野市の担当者は、高齢者全員へ一斉に案内を送ったことを一因に挙げ、「家族のサポートがない高齢者がネットで予約するのは難しい面もある」と加えた。

 10日、予約を受け始めた日光市は臨時のコールセンターも設けたが、電話もネットもつながりにくい状況に陥った。担当者は「市民に申し訳ない。方法を再考しないといけない」と声を落とした。

 大田原市は今後の受け付けからネット予約を導入する。矢板市は回線数を5に増やした。14日から75歳以上を対象に初めて受け付ける足利市は、当初の20から35まで回線数を増やす。コールセンター以外への電話も見越して土日も職員が待機するなど教訓を生かすという。

 宇都宮市は10日までに約4万5千件の予約を受け付けた。担当者は「ワクチンは安定的に供給される」として、落ち着いた対応を呼び掛けている。