日本脳炎は日本脳炎ウイルスを保有したブタなどの血を吸ったコガタアカイエカがヒトを刺すことで感染し、ヒトからヒトへはうつらない。小高医師は「急な発熱や頭痛、吐き気といった風邪に似た症状が出るが、重症化するとけいれんや昏睡(こんすい)状態になる。意識障害といった重い後遺症に苦しむことも多く、発症すると命を落とす確率も20~40%」という。

小高淳医師

 1960年代までは子どもを中心に国内で年間数千人がかかっていたが、「ワクチン接種や生活環境の変化によって近年の発症者は年間10人ほどに減っている上、発症者の大半は農作業など野外作業の多い高齢者になった」と話す。

 ウイルスを媒介するコガタアカイエカは水田や沼地を好み、活動時期に合わせて初夏から秋の症例が多い。国内では主に関東から西の地域に生息し、東南アジアやインド、中国、韓国など広く分布しているため、アジア方面に渡航する際も注意が必要だ。

 

 日本脳炎ワクチンはおおむね3~4歳児が受ける1期初回(2回)と1期追加、9歳児が対象の2期の計4回接種することで免疫が高まり発症リスクを75~90%減らすことができる。だが厚生労働省のホームページによると、国内でワクチンを製造する2団体のうち一つでワクチン製造が一時的に停止。2団体とも出荷量を調整しているため、本年度のワクチン供給量が大幅に減る見込みだという。

 同クリニックでは国の方針に従い1期初回(2回分)の接種を優先しているが、ワクチンの入荷時期が定まらないので約1~2カ月程度接種が遅れており、今後はさらに予約が取りにくくなることが予想される。

 日本脳炎ワクチンは副反応が確認されたため2005年ごろから定期接種を控えていた時期があり、子どもの感染も数件確認された。一方、小高医師は「定期接種を見合わせていた期間も大流行には至らず、今回の件で接種が遅れたとしても患者数が爆発的に増えるということは起こらないのではないか。万が一に備えて日頃から虫よけを使い、草むらなどで活動する時は長袖を着ることなどを心掛けてほしい」と呼び掛けている。