「多言語WEB連絡帳」の画面。教員らが伝えたい内容を選び保護者に向けて送信する

 宇都宮大国際学部の若林秀樹(わかばやしひでき)客員准教授(58)が教育機関向け多言語対応連絡システムの研究・実用化に取り組んでいる。今年1~3月には栃木県内外の中学校や教育委員会計87団体が参加し、若林客員准教授が考案したアプリを基にした「多言語WEB連絡帳」の実証実験を行った。「やりとりの負担が軽減され連絡事項が確実に伝わった」と参加校から好評で、システムの改善を進め伝達手段の簡便化を目指す。

 多言語WEB連絡帳は、総務省の「多言語翻訳技術の高度化に関する研究開発」事業で、日本語での意思疎通が難しい外国人保護者と教員を対象に実施した。

 県の2020年度学校基本統計によると、小学校の外国人児童の割合は1.2%、中学の同生徒は0.99%で増加傾向にある。

 教員経験があり外国人児童生徒の日本語指導にも詳しい若林客員准教授は「外国人の増加とともに多言語化し在籍校も分散化している」と指摘。昨年度は新型コロナウイルス感染拡大を受けた臨時休校などで、連絡に悩む学校があったという。

 連絡帳は、日本語、スペイン語やネパール語など9カ国語に対応し、授業参観や進路調査、持参品などの通知約200の定型文を用意した。教員がパソコン上で送信先と連絡したい内容を選ぶと、保護者の母国語に翻訳されて通知が届く仕組み。管理画面で未・既読も分かる。

 那須塩原市三島中教頭として実証実験に参加した俵藤秀之(ひょうどうひでゆき)同市東小校長(53)は「これまでは、担任が家庭を訪問して辞書を片手に身ぶり手ぶりで通知の内容を説明したが、両者とも本当に理解しているのか不安になることがあった」とし、「連絡帳でお互いの負担がなくなり、確実に伝わるようになった。さらに教師と保護者との信頼関係も強まったようだ」と話す。

 実験後、参加校から「連絡伝達がスムーズになった。使い続けたい」「定型文を増やしてほしい」といった意見や要望を受けた。若林客員准教授は「定型文を増やすとともに双方向性の機能を強化したい」とした上で、「このシステムは日本人を含めた全児童生徒が対象。教員の事務作業軽減を図り、児童生徒と向き合える時間を増やしたい」と話している。