台風19号で思川が氾濫し、水没した鹿沼市内の田んぼ。被災から1年半が過ぎたが、今も仮住まいが続く被災者がいる=2019年10月13日撮影、鹿沼市内

 2019年10月の台風19号の本県直撃から、今月で1年半が経過した。住宅が被害を受け、一時的に公営住宅などで暮らす人は3月末時点で108世帯211人。うち99世帯185人は、入居期間が2年以内の借り上げ住宅で暮らしている。自治体によっては、公営住宅の無償提供を1年で終えたところもある。自宅の建て直しを進める被災者は仮住まいが続き、「こんなに長くなると思わなかった。早く自分の家に住みたい」と思いを募らせている。

 県内の各自治体によると3月末時点で、台風19号により被災し市町営住宅に一時的に入居しているのは佐野、宇都宮、足利など5市町で8世帯22人。県営住宅には1世帯4人が暮らす。栃木市は市営住宅の無償提供を入居から1年で終了した。修復が済んだ自宅へ戻った人もいれば、市営住宅へ正式に入居した人、借り上げ住宅へ移った人などもいるという。

 鹿沼市、竹澤直(たけざわただし)さん(69)は2階建ての自宅が浸水被害に遭い、19年11月から市内の公営住宅で暮らす。慣れない借家生活は気付けば2回目の春を迎えた。

 自宅1階部分は厨房(ちゅうぼう)で、仕出し弁当店を妻と営んでいた。「年齢を考えると、店を直してもその先10年続けられるか分からない」。戦前から3代続いた店の再建は諦めた。

 台風の被害がなければ、今も店を続けていた。「あと5年くらいはやるつもりだった。仕事がなくなったのが1番ショック。心にぽっかり穴が空いた」と明かす。コロナ禍も重なり、住み慣れない家で過ごす時間が増えるばかり。

 自宅は現在、基礎工事が進む。新たな住まいは台所、風呂、トイレなどを2階に集約した。また水害が起きても2階だけで生活できるようにした。「早く自分の家に戻りたい」と完成を心待ちにしている。