小欄担当に「今市文芸 分水嶺(ぶんすいれい)」なるA5判の同人誌が送られてきた。確認すると創刊36年の歴史があり、24年ぶりに復刊した第11号とのことだった▼「文章らしいものを何一つ書いたことがない仲間が集まって」と記して創刊したのが1985年。小説やエッセー、詩、短歌などジャンルを問わないのが特徴だ。文芸関係者によれば、県内で多分野を収録する同人誌は珍しいのではないかという▼自営業、主婦、公務員など旧今市市の在住者を中心に最盛期には同人20人、賛助会員30人を数えたが97年、第10号を限りに休刊した。家業や勤務先で多忙になる同人が増えたためだった▼それからほぼ四半世紀、それぞれに余裕ができたこともあり今年2月、復刊にこぎ着けた。ただ、残念なのは仲間が減ったこと。多くが他界するなど、現在の同人は70代、80代の6人だけになってしまった▼「ふるさとの景色の中で語り合い、生まれてくるものが本物」というコンセプトは創刊時から変わらないという。復刊号も親しみやすく、どこかぬくもりを感じるのはそのためだろう▼近年、県内でも高齢化により継続に苦労する文芸誌が少なくないと聞く。分水嶺の同人たちは「あと15年、20年はできる」と意気軒高だが、復刊の勢いで仲間を増やし、さらに長く貴重な地域の文化を守ってほしい。