投打同時出場の「リアル二刀流」で完全復活を誓うエンゼルスの大谷翔平(おおたに・しょうへい)選手らの活躍に期待が集まる大リーグは、今季から反発力の低い「飛ばないボール」を導入している▼ボールの重さを最大2・8グラム軽くし、飛距離を抑えることで本塁打が約5%減少するとされる。変更の背景には本塁打と三振の急増による大味な野球からの脱却がある▼アッパースイングで長打を狙う「フライボール革命」の影響で、2019年には全30球団で史上最多の6776本塁打が乱れ飛んだ。三振も約4万3千個と過去最多。本塁打、三振に四球を加えた合計が全打席の約3分の1とのデータもある▼ホームランは野球の華と言われる。一振りで試合をひっくり返す魅力も野球ならでは。だが、機動力を駆使した攻撃やそれを阻止する内外野の連係プレーなどが軽視され、スピード感やチームスポーツの面白さが失われているとの指摘は多い▼大リーグはこのほど、三振を減らすための実験として一部独立リーグの試合で投手と本塁間の距離、18・44メートルを約30センチ長くすることを決めた▼19世紀末から連綿と続くルールが簡単に変わるとは思えないが、大リーグのマンフレッド・コミッショナーは「時にクレージーなアイデアがけん引力を持つこともある」と語る。日本球界も無関心ではいられないだろう。