県内でも高齢者への新型コロナワクチンの接種が始まった。やっと科学的な感染防止策が身近になったが、先は見通せず、疫病退散の御利益があるとされる「アマビエ」や宇都宮市の「黄ぶな」の出番は終わりそうにない▼西洋では古来、馬の蹄鉄(ていてつ)が厄を払うとされている。その蹄鉄の扱いを学べる国内唯一の施設が1995年、宇都宮市鶴田町に開設された日本装削蹄協会の装蹄教育センターだ▼蹄鉄を装着する専門家が装蹄師。民間資格の認定試験を受けるには、同センターでの1年間の履修が条件となる。今春も全国各地から18~35歳の男女16人が入所した▼学ぶ内容は幅広い。ひづめ削りや蹄鉄修整、くぎでの固定などは基本作業。飼養や乗馬の実習、馬についての座学もある。赤く焼けた棒鉄をハンマーで成形する実習は、まるで刀鍛冶のようだ▼競馬に興味がなくても、シンザンやディープインパクトは聞いたことがあるだろう。彼らを支えたのは、装蹄師が工夫を重ねた特殊な蹄鉄だった。ただ、蹄鉄の主な目的はひづめの保護や脚の治療。速く走れる科学的根拠はないそうだ▼装蹄師の活躍の場は、中央競馬、地方競馬、乗馬クラブ、馬産地など意外と多く、求人倍率は2倍に達するという。いずれ認定装蹄師は宇都宮で学んだ人が占める。栃木育ちの名人誕生に期待だ。