豚熱の感染が県内初確認され、今後の対応を協議する県の対策本部会議=17日午後6時、県庁

 栃木県那須塩原市の二つの養豚場で豚熱(CSF)の感染が明らかになった17日、県内養豚業界は衝撃を持って受け止めた。県内では昨年5月に全ての飼養豚へのワクチン接種を完了し、新たに生まれた子豚などへの接種を順次進めていた。なぜ感染したのか-。母乳からの免疫が切れてからワクチン接種までの“隙間”の危険性を指摘する声も聞かれた。

 「考えられない。万が一の万が一が起きた」

 県養豚協会の星正美(ほしまさみ)会長(68)は驚きを隠さなかった。

 県内では136施設で約41万頭の豚が飼育されている。各養豚場は、野生イノシシの侵入に備えた防護柵や野鳥の侵入を防ぐ防鳥ネットの設置を今年3月までに終えた。ワクチン接種も行っており、「国や県の指導の下、適切に対策を行ってきたのに」と漏らす。

 国や県に感染経路の早期解明を求める一方、会員に対し、豚舎への出入りなど衛生管理体制の再徹底を呼び掛けるという。「出直しだ。もう1度気を引き締めるしかない」

 17日の記者会見で福田富一(ふくだとみかず)知事は、子豚に起こりうるワクチン接種の盲点を指摘した。生まれた子豚は母親から母乳によって移行抗体を得るが、生後50~60日で効果が切れるとされる。今回感染が確認されたのはすべて生後60日程度の子豚だった。その上で「子豚は母乳による免疫が切れる期間があり、その隙間で感染してしまう」との見方を示した。さらに「ワクチンを接種しても抗体を持つのは8~9割だ」と述べた。

 星会長は「毎日子豚が生まれる一方、ワクチン接種の機会は限られる。大規模な所ほどリスクを負う。民間の力を借りるなどして接種の頻度を増やすことが必要だ」と指摘した。