昨今の接待問題は官僚の規範意識に、深刻な懸念を抱かせる。かつて「官僚一流、政治家二(三)流」などと言われていたことがうそのようだ。国の中枢にあって、高度な職業倫理を求められる官僚の劣化が疑われている。残念の一言だ▼先月7日は91歳で亡くなった渡辺文雄(わたなべふみお)元知事の一周忌だった。東京大法学部から農林水産省に入り、官僚トップの事務次官まで栄達した。まさに官僚の中の官僚であったと言えよう▼虎は死して皮を留め、人は死して名を残す-。故事の通り、知事として県政史に名を刻んだが、「行政官知事」が自身を語る上での口癖だった▼県民から選挙で選ばれた知事が「行政官」を標榜(ひょうぼう)することに批判もあったとされる。退任後の2001年8月17日付本紙で、その理由について触れている▼「知事というものは半分が政治家で、半分が行政官。就任時、行政官知事になろうと決心した」と語っている。自身の後援会がなかったことを挙げ、「つくると言うことを聞かなくてはいけない。行政官として公平に仕事をしたかった」▼一連の接待問題では、国家公務員倫理規程違反で複数の幹部も処分された。「記憶になかった」など、国会での苦しい弁明に「行政官」としてのプライドはみじんも感じらない。「公平故の行政官」を語った元知事は安らかだろうか。