「市政の継続か、刷新か」という問い掛けに、有権者は「刷新」を選択した。

 新たなかじ取り役を託された金子裕(かねこゆたか)氏(58)と現職の岡部正英(おかべまさひで)氏(82)との初対決は、新佐野市誕生に伴う2005年の市長選にさかのぼる。苦杯を喫した金子氏は雪辱を期して県議に転身。2年前の県議選でトップ当選した勢いを背景に満を持して2度目の対決に臨み、世代交代のうねりを市内全域に広げた。

 迎え撃った岡部氏はコロナ禍のまちづくりに4期16年の経験と人脈を生かすと訴えたが、「高齢」「多選」という二つの逆風の強さは想定以上だった。

 一方で、大きな政策的な争点は見当たらなかった。災害対策など各候補者が共通して掲げた公約はあったものの、予算措置や実施時期までは踏み込まず、政策論戦は低調だったと言わざるを得ない。

 市議、県議を合わせ30年の政治キャリアを誇る金子氏も、市長としての手腕は未知数だ。まずは有権者に訴え続けた「進化する佐野」のグランドデザインを早急に描き、市民に示すべきだろう。市を4分した選挙戦で生じたしこりが残らぬよう、融和や協調の姿勢も求めたい。