来年のNHK大河ドラマは「鎌倉殿の13人」。鎌倉幕府成立後、武士の世を盤石にした2代執権・北条義時(ほうじょうよしとき)が主人公である▼後鳥羽(ごとば)上皇が義時に対して討伐の兵を挙げた承久(じょうきゅう)の乱は、朝廷に対し幕府優位の力関係を決定付けたこともあり、ドラマのヤマ場の一つのはず。乱から今年で800年になることを記念し、県立博物館はテーマ展「長沼(ながぬま)氏から皆川(みながわ)氏へ」を開いている▼平将門(たいらのまさかど)の乱を鎮圧した藤原秀郷(ふじわらのひでさと)の子孫に当たり、下野国長沼荘(真岡市)を本拠とした長沼氏の盛衰を、子孫が保管してきた古文書でたどっている。鎌倉幕府樹立に多大な貢献をして重臣となり、承久の乱の戦功で淡路国守護職を与えられた▼鎌倉時代を通じて世襲し、瀬戸内海の重要拠点の治安を100年以上にわたって託されたのは、幕府の厚い信頼があってこそ。戦国時代には皆川荘(栃木市)に本拠を移し、皆川氏と称した▼展示の目玉は、長沼氏の指揮で作成された淡路一国の土地台帳「淡路国大田文(おおぶみ)」である。国重要文化財に指定された6メートルに及ぶもので、承久の乱の功績の証しとも言える▼同館の山本享史(やまもとたかし)さんは「展示は一族が織田信長(おだのぶなが)や徳川家康(とくがわいえやす)といった天下人と緊密な関係にあったことが改めて認識できる」と話す。タイトルは地味だが、歴史の転換点で活躍した本県の武士の姿には心が躍る。