記者会見で謝罪する鹿沼市社協の池澤会長(右)と田野井事務局長=13日午後4時10分、鹿沼市万町

 栃木県鹿沼市社会福祉協議会は13日、成年後見制度に基づき同社協が後見人となっている同市在住、高齢男性名義の通帳2通から計311万円が引き出され、使途不明になっていると発表した。通帳2通は家庭裁判所に届けている財産目録に未記載で、後見事業を担当している同社協地域福祉課の職員の自宅で見つかった。

 当該職員は現在、脳血管系の疾患のため入院中で、同社協は回復を待って財産目録未記載の理由や不明金の使途などを確認するという。職員は2019年3月に同社協が男性の後見を開始した当初から担当し、財産目録作成にも関与していた。

 同社協によると、職員入院後の今年3月22日、職員の家族から「(職員の)所持品の中に知らない人の通帳がある」との連絡が入った。通帳を確認したところ、19年8月から21年3月まで36回にわたり現金が引き出された記録があった。金融機関には代理人届けが出されており、同社協の印鑑でしか引き出しができない状態だった。

 同社協は3月25日、宇都宮家裁に報告。現在は、同30日付で後見人に追加選任された弁護士が男性の財産を管理している。男性は認知症が進行しており、同社協は本人への説明は行っていないが、北海道在住の親族に謝罪したという。

 同社協は13日の理事会で全額補償することを決めた。今後の対応については鹿沼署に相談しており、調査のための第三者委員会設置も検討しているという。記者会見で池澤光男(いけざわみつお)会長は「成年後見制度の中で、あってはならないこと。信頼を損ねたことを深くおわびする」と陳謝した。

 成年後見制度は認知症などで判断能力が不十分な人に代わり、後見人が財産管理や福祉サービスの契約などを担う制度。同社協は現在16件を受任しているが、宇都宮家裁は16件全てで同社協に代わる後見人を選任する手続きを進めている。