栃木県内の医療機関で行われた新型コロナウイルスのワクチン接種=2月

 高齢者に先行して2月から始まった栃木県内の医療従事者向け新型コロナウイルスワクチン接種が、対象とされる約6万8千人の接種回数の2割弱にとどまることが12日、県への取材で分かった。しばらくは高齢者と並行して接種が進むことになるが、医療現場からはスケジュールの遅れに不安の声も上がっている。

 県によると、医療従事者向けのワクチン接種は9日までに2万6525回分を終えた。これまでに3万4320回分が国から届いており、月内には2万2千回分以上が届く見込み。さらに5月には少なくとも約2万回分が届く予定だが、具体的な日程などは未定という。

 医療従事者への接種が完了するのを待たずに、12日から高齢者を対象にした接種が開始。未接種のまま医療に当たる現場では不安も多い。宇都宮市内、70代の男性医療従事者は「接種は5月末か6月になるかもしれないと言われた。私たちが安全な状況になって初めて、安全な医療を提供できるのに」と嘆く。国に対しては「国民を喜ばせるために高齢者への接種を開始したのではないか」との疑問も持つ。

 厚生労働省は2日に都道府県に対し、高齢者向けワクチンを医療従事者にも使用できるよう制限を緩和する通達を出している。県医師会の稲野秀孝(いなのひでたか)会長は「医療従事者が優先して接種できる仕組みを県や市町に求めていきたい」と話した。