カラスは英語でクロウ、かかしはカラスを怖がらせるとの意味でスケアクロウという。ただ、相手は賢い。かかしぐらいで追い払えないことは誰もが知っている。被害に頭を痛める人は数知れない▼生ごみをあさり、群れて市街地に大量のふんを落とし、収穫間近の農作物を食い荒らす。鳥獣別の全国被害額はシカ、イノシシに次ぐ第3位でサルを上回る。農家が「一網打尽にしてほしい」と恨む気持ちも分かる▼学術的根拠にのっとった被害対策を手掛けるのが、宇都宮市のベンチャー企業「クロウラボ」代表の塚原直樹(つかはらなおき)さん(41)だ。宇都宮大在学中からの研究成果をまとめた新書「カラスをだます」を出版した▼起業して3年。カラスだけにまだまだ“苦労”は絶えないが、本はユーモアとだます知見にあふれ、飽きさせない。「記憶力はいいが、鼻が悪いし臆病。そんなに恐れる必要はない」と笑う▼訴えるのは「カラスとの共存」。そもそも人間と生活圏が重なる。駆除しようとするより、生態に基づき、彼らにとって食の宝庫であるごみ置き場や畑にいかに近づかせないかの方が重要と説く▼「人が無自覚に餌付けして個体数を増やしている」と塚原さん。ごみ出しルールをみんなで守り、廃棄野菜を放置しない。何よりカラスを知ることが、被害を減らす確かな一歩になる。