新型コロナは第4波への不安が日を追うごとに強まっている。人類の歴史は感染症を恐れ続けた歴史だとか。そんな記憶のかけらが古里の一隅にもあった▼佐野市閑馬町の新緑がまぶしい静かな山あいに鎮座する八坂神社。閑馬小歴史研究部謹書とある古びた掲示板が目を引く▼「三代将軍徳川家光(とくがわいえみつ)の時(中略)悪疫流行甚だしく、郷民の苦難止(や)むところを知らず(中略)津島より午頭(ごず)天王を勧請…」と記されている。田沼町史には疫病退散を願った「八坂神社」は各地に祭られている、とあった▼創建は「寛永10年四月」との記載があり、果たして疱瘡(ほうそう)や麻疹、赤痢などが猛威を振るっていたのであろうか。親や子、夫や妻を亡くした住民もいたことだろう。400年前の江戸の昔に思いをはせると、慟哭どう(こく)が聞こえるような気がした▼医療が発達していなかった時代である。栃木県神社庁によると、県内を見ても疫病収束を願った勧請は実に多い、という。「いかに多くの民衆が脅かされきたかの証し。ただひたすらに祈ることしかできなかったのでしょう」▼今の新型コロナは難敵だが、マスクをし3密を避けるなどの対策の徹底が、拡大防止につながることは分かっている。先人と同じ苦しみに遭わないためにも、昨今の「大人数での会食」は「他山の石」として気を引き締めたい。