茨城県東海村の日本原子力発電東海第2原発について水戸地裁は運転差し止めを命じ、愛媛県の四国電力伊方原発3号機について広島高裁は運転を容認する決定をした▼東海第2原発は、避難対象となる30キロ圏内に全国の原発で最も多い約94万人が住む。重大事故が起きれば、数万から数十万の住民が一定時間内に避難しなければならない。その実現可能性を疑問視する判決だった▼一方、伊方3号機は、四国電の地震や火山に対する安全性評価は不合理ではないとして運転差し止めを命じた仮処分決定が取り消された。同原発は営業運転再開に向け動きだす▼とはいえ、地震や火山噴火の予測には限界がある。10年前の東京電力福島第1原発事故が残した教訓は、どんなに対策を取っても重大事故の可能性はあり、そのリスクを考えよということではなかったか▼地震、津波だけでなく、豪雨などの災害が並行して起きても、住民の避難を実行し、避難した人たちがどれだけ被ばくしたかをきちんと測定する体制はできている、と言えるのか▼反対派が津波の危険を指摘し対策の不備を声高に叫んでいれば配慮もあったのではないかとして「反対する側にもある種の役割は期待される」と、10年前の事故の後に書いた工学者がいる。行政や事業者に、それを聞く耳は備わったかと尋ねたい。