定期健診や予防接種など母子の健康に関する記録を一貫して管理でき、命を守る重要なツールとなるのが母子手帳だ。妊娠を市町村に届け出ると交付される。改めて「母になった」と感じる瞬間だろう▼その名前故か、父親が内容を把握しているかどうかは心もとない。2月まで小紙に連載された小説「レインメーカー」では、この手帳が鍵を握った。幼い息子の容体が急変し、病院に駆け込んだ父親は持参しなかった。必要性を知らなかったのだ▼父親の育児参加が叫ばれて久しい。「手伝う」のではなく、より主体的に関わることが求められている。背中を押そうと、全国には「父子手帳」を作り、母子手帳と一緒に配る自治体もある▼本県も市町を通じて配ってきたが、2019年度で中止した。ホームページで見られるとはいえ、手にするからこその重みがある。少し残念でもある▼一方、小山市は父子手帳ならぬ父親向け育児ガイドを作り、配布を始めた。男性の育児休業や産後うつなどの情報も載せた。育児に関わろうとする自覚が、おなかの赤ちゃん同様すくすく育つといい▼イクメンという言葉が浸透した今も、家事育児に携わる時間は女性の方が圧倒的に長い。負担感も強い。不公平感を抱くことなく育児ができるようになるまで、行政に期待する役割はまだまだある。