困っている視覚障害者への接し方

 店入り口にある消毒液の場所が分からない、間隔を空けて列に並ぶことが難しい-。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、視覚障害者の生活で不便さが増している。「触ること」は大きな情報収集の手段だが、外出先で物に触れて大きさなどを確認することがはばかられるという。当事者らは「困っている視覚障害者を見掛けたら、まず声を掛けてほしい」と支援を求めている。

 コロナ禍で「新しい生活様式」が求められるが、目が見えない、見えづらい人にとっては戸惑う場面が多いという。

 栃木県視覚障害者福祉協会の須藤平八郎(すとうへいはちろう)会長(75)によると、店に入る時はまず手指消毒が求められるが、消毒液の場所が分からず困るという。レジなどで列に並ぶ時は、床にソーシャルディスタンス(社会的距離)確保の表示があっても見えず、前の人が進んでも分からなかったり、逆に人に近づきすぎてしまったりする。

 スーパーでは、例えば野菜に触れることで大きさや形、新鮮さを確認していたが「今はなるべく触らないようにしている」。店員に「こういう物が欲しい」と伝えて買っているという。

 感染拡大に伴い、「街中で声を掛けてくれる人が少なくなった」と須藤会長は感じている。福祉事業所などが外出を支援する「同行援護」も、公共交通機関の利用や市町をまたいだ移動などは「断られることもある」と明かす。

 困った時に助かるのが、近くにいる人の見守りや声掛けだ。同協会の加藤範義(かとうのりよし)副会長(74)は「白杖(はくじょう)を持っている人、盲導犬を連れている人などが困っていそうだと思ったら『何かお手伝いすることはありますか』と声を掛けてもらえたら」と話す。

 加えて、視覚障害者はマッサージ業に携わる人が多く、人と接触する特性上、利用客が減少し収入が減った人もいるという。

 自治医大眼科学講座の渡辺芽里(わたなべめり)助教は「見えづらさで困る生活にいつ自分がなるかは紙一重。目で困っていることの延長線上に視覚障害者がいると知ってほしい」と理解を呼び掛けた。また、見えない人、見えづらい人へは自分や家族が新型コロナに感染した場合に備え、かかりつけ医の電話番号などを確認しておくよう提案した。