那須町芦野の石材業白井伸雄(しらいのぶお)さん(65)が建築家隈研吾(くまけんご)さんに「古い石蔵の再生を手掛けてもらえないか」と依頼したのは1994年だった▼旧奥州街道の芦野宿の中心にある、過疎化の象徴のような荒れた蔵を再生のために購入したのがきっかけ。町特産の芦野石を使った大正-昭和初期のもので、本格的な組石積造の建築の見本とすることで、地域と石の産地の活性化につなげようと考えた▼低予算で公的サポートは一切期待できず、隈さんは著書の中で「これほど条件の厳しいプロジェクトも珍しい」と振り返っている。利点は白井さんの会社で働く職人に、どんな加工でも頼めることだった▼古い蔵3棟は改修し、新たに4棟造った。石のルーバー(格子)で空間を仕切り、敷地内には水を張って石橋が各建物をつなぐ。完成に6年を要し、2001年1月に「石の美術館ストーンプラザ」としてオープンした▼同年、日本の石材および建築としては初めてイタリアの国際石材建築大賞を受賞。今年で開館20周年を迎え白井栄子(しらいえいこ)マネージャーは「コンサートなども開き地域活動の拠点にもなっている」と話す▼近くの那須歴史探訪館と馬頭広重美術館(那珂川町)も隈さんの設計で、石の美術館の整備が呼び水となったとも言える。新緑の季節、隈さんの作品を巡ってはどうだろう。