任期満了に伴い4月18日告示、25日投開票で行われる足利市長選は、いずれも無所属で現職の和泉(いずみ)聡(さとし)氏(57)、前県議で新人の早川尚秀(はやかわなおひで)氏(48)の保守系同士の一騎打ちが濃厚だ。今年で市制100周年を迎えた市の「次の100年」を占う選挙戦の焦点を探った。

立候補を予定している和泉氏(右)と早川氏。渡良瀬川の両岸に広がる足利市(奥)の「次の100年」を占う市長選は4月18日告示される

 2期8年を務める現職としては異例の表現だった。

 「手作りの草の根選挙」

 和泉氏の後援会は2月上旬、事務所開設を知らせるチラシで、そう標榜(ひょうぼう)した。

 2013年、自民党の全面支援を受け市長になった和泉氏。前回17年の市長選では自民、公明党や連合栃木などの推薦を受け無投票で再選を果たした。だが昨年12月、保守系市議14人が早川氏への立候補要請を公表して以降、構図は激変。このうち7人は初当選時から和泉氏を支えた立場で、たもとを分かった格好だ。

 今年1月には自民足利支部が早川氏の推薦を決定。2月には和泉氏の後援会で、会長を務めていた相馬稔(そうまみのる)足利商工会議所会頭ら役員が総退陣した。新たな役員には和泉氏の家族らが就いた。

 「もし立候補を取りやめるようなことがあれば、『一部の有力者の密室の取引で市長を決めてしまうのか』という批判が必ず出る」。和泉氏は書面取材に対し、決意の固さを明かした。

 「大きな失政はない」。退いた前役員の一人はそう評しつつ「コミュニケーションをうまく取ることもトップに求められるやり方。市議14人が『トップを変えろ』というのには理由があるのだろう」と説明した。

 和泉氏は事務所開きを「感染のリスクを高める」として中止。一方、早川氏の後援会は3月上旬、マスク着用や検温などの対策を講じた上で実施した。自民県連幹事長で地元選出の木村好文(きむらよしふみ)県議や14市議のほか農業、建設業、商工業などの団体関係者が顔をそろえ、組織力をうかがわせた。

 「私は新人で挑戦者。厳しい、険しい道のりと覚悟している」。県議5期で議長も務めた早川氏は、父子2代の市長の座へ「背水の陣」の思いを強調した。

 14市議の一人は、市民の戸惑いも明かす。「『何で今の市長じゃ駄目なん。山火事だって良くやってたがね』という声を聞く。丁寧に説明するしかない」

 2月21日に両崖山で発生し、3月15日に鎮火した山林火災。和泉氏は連日の記者会見で状況を説明し続け、動画投稿サイトの自身のチャンネルでも「(消防の応援要請は)新聞記者時代の人脈が生きた」とアピールした。早川氏を推す市議たちは市議会などで和泉氏の初動対応を追及し、双方の動きは山林火災を巡って前哨戦の様相さえ呈した。

 今月12日、和泉氏を推す保守系市議4人が新会派を結成した。保守分裂の混迷の中、8年ぶりの選挙戦は3週間後、告示を迎える。