文具と聞いて真っ先に浮かぶのは商売道具のペンだ。入社した30年ほど前は水性ボールペンを愛用した。油性より筆の走りがよかったが、キャップをし忘れては服にインクの染みを作った▼あまりに身近で変化に気付くこともない文具にスポットを当てた企画展「進化を続ける文具」が4日まで、県子ども総合科学館で開かれている(1日は休館)。科学との組み合わせの妙に誘われ、親子連れに交じって中をのぞいた▼シャープペンはなぜノックするたび芯が出るのか。ホチキスはどうして針が一つずつ折れ曲がるのか。職員手作りの特大模型に触れ、そこに潜む科学を知れば、子どもたちも勉強が楽しくなりそう▼進化の歴史や国内外のユニーク文具も取り上げた。中でもドイツの子ども用文具に目が留まった。担当者によると、同国では小学校低学年から、鉛筆ではなく万年筆で授業を受ける▼ちゃんと使えるようになれば「免許証」のお墨付きがもらえるとか。鉛筆は筆圧が高い子どもでも芯が折れず簡単に消せる。一方、万年筆はなぜ間違ったのか振り返れるという▼熟考してから書く訓練になる。文具一つにもお国柄の違いが見られ、面白い。桜が咲き誇り、新学期や新年度が始まるこの季節。幸先のよいスタートが切れることを願って、手元の文具を見つめ直すのも悪くない。