57年の時を超え、夫婦ランナーが聖火リレーの晴れ舞台に顔をそろえた。茂木町の最終走者久保庭美代子(くぼにわみよこ)さん(73)と夫隆夫(たかお)さん(74)=同町小井戸。隆夫さんは1964年東京オリンピックで氏家町(現さくら市)を走り、県内ランナーの代表で宣誓も行った。
隆夫さんは町マスコットキャラクターの手を取り、美代子さんの後ろから道の駅もてぎのゴールを目指した。駐車場内30メートル、15秒ほどの伴走は「夫婦で聖火リレーを走りたい」という夢がこの上ない形でかなった瞬間だった。
ゴール後のお立ち台では、隆夫さんが57年前に着た当時のユニホーム姿で誇らしげに美代子さんと肩を並べた。まだ聖火がともるトーチの横には、隆夫さんが掲げる57年前のトーチ。「半世紀以上前の記憶に一瞬でつながった」(美代子さん)。照れ気味の夫の横で、妻は晴れやかに笑顔を振りまいた。