いったい、いつから、こんなに規則に縛られ、逸脱を許さない社会になったのだろう。「ブラック校則」が問題になって久しく、就活のマナーブックでは、男女別に事細かに服装指南が並んでいる▼体育の授業で体操服の下に肌着を着るのを禁止している小学校の存在も問題視された。学校側は「運動後の汗で体を冷やさないように、健康や衛生面からの配慮」だと説明するが、極めてデリカシーや人権意識に欠ける“指導”である▼価値観の変化に伴い、理不尽な規則を強いる校則を巡っては、見直しの動きも進んでいるようだ。外国人居住者の増加に伴い、学校でも髪の色が異なる子どもが増えている現状を考えれば当然のことだろう▼こうした生徒たちに「地毛証明書」を求めることを想像すれば、黒髪を強いる無意味さや滑稽さに気付くはずだ▼東京・五輪パラリンピックの開閉会式の演出案で容姿を侮辱された問題で、タレントの渡辺直美(わたなべなおみ)さんが他人の容姿を揶揄(やゆ)する言動について、ユーチューブのライブ配信を通じ語っている。「自分の髪色、着たい服、体のことは自分で決めたい。決めるのは自分自身‥」▼全員を強制的に同じ格好にさせることが、異質な者を排除する差別やいじめにつながる。「多様性尊重」がお題目で終わっては、問題はいつまでたっても解決しない。