「想定外のことが起こる、という覚悟を持ち学校経営に臨んだ」と話す初谷校長=宇都宮市一条中

「児童はいままでにない経験をした。今後も様子を見守っていく必要がある」と話す栗原校長=宇都宮市西原小

「想定外のことが起こる、という覚悟を持ち学校経営に臨んだ」と話す初谷校長=宇都宮市一条中 「児童はいままでにない経験をした。今後も様子を見守っていく必要がある」と話す栗原校長=宇都宮市西原小

 新型コロナウイルスの感染拡大で県内の小中学校はこの1年、臨時休業や学校行事の延期・中止など大きな影響を受けた。これまで経験したことのない出来事にどのように対応したか、県中学校長会の初谷憲一(はつがいけんいち)会長(宇都宮市一条中校長)と県小学校長会の栗原武夫(くりはらたけお)会長(同市西原小校長)に聞いた。

■教職員の本分、明確に 宇都宮市一条中・初谷憲一校長

 -昨年は6月1日から本格的に学校が始まりました。中学生の様子は。

 「分散登校時の楽しそうな表情から、生徒は学びを求めていると確信しました。お互いをぶつけ合いながら勉強し合う環境があって初めて学べるものがたくさんある。ただ、集団生活自体を不安視する生徒と保護者はいました」 

 -生徒の不安をどのように取り除きましたか。

 「『必ず収束する日が来る。その日のために、今できることを全力で取り組もう』と再三伝えました。また、これまで以上に教職員が生徒に声を掛けて健康や気持ちに配慮しました」

 -部活動の大会や修学旅行など行事が中止・変更になり、生徒にとってメリハリがなかった1年になったのでは。

 「中学生なりに、コロナ禍という現実を受け入れています。行事は『多少リスクはあるが子どものため、やってしまおう』で流してはいけない。生徒の安全を最優先にすべきです」

 「一条中の文化祭は今まで通りにできないがどうするのか、生徒に投げ掛けました。生徒が考え、クラスごとに動画を制作し全校生徒で鑑賞しました。今できることを必死で考え、頑張った姿に教職員も元気をもらいました。中学生は問い掛ければ応える能力があります。制約の中で何ができるのか、発想の転換をさせ能力を引き出すのも教職員の力です」

 -3年生への進路指導はどうでしたか。

 「県立高の一日体験入学が中止になりましたが、各校がホームページ(HP)で学校を紹介するなど工夫してくれました。ただ実際に学校へ行ってその雰囲気を知ることができず、情報不足を不安視する保護者もいました。高校入試の出題範囲が狭くなったのは良かったです」

 -コロナで得た知見で今後生かせるものは。

 「コロナは全てを見直す機会になりました。例えば教職員の多くの会議が書面決議やリモートに変わり、生徒のために使える時間が増えました。本来の教職員の仕事は何のか、整理して役割分担を明確にすることが必要。行政任せにせず、現場からも積極的に提案し働き方改革を進めるべきです」

■GIGA、格差を懸念 宇都宮市西原小・栗原武夫校長

 -小学校への影響はどのようなものがありましたか。

 「小学生にとって、学校で友達と活動するのは楽しい時間。それがソーシャルディスタンスを取らなければいけなくなりました。不安解消のため保健便りの配布回数を増やし、健康チェックカードも随時見直しました」

 「今は安全面や少子化の影響で、学年を超えて児童たちが接する場は学校しかありません。学習活動やそうじなど異なる学年でつくる縦割り班での活動は、思いやりなどが育つ場になっていますが、活動自体が難しかった」

 -1年生は入学後すぐに休校になりました。

 「通常は入学後1、2週間は6年生が朝教室へ行って面倒を見ますが、できませんでした。また休校の影響で徐々に学校生活に慣れる時間がなく、すぐに授業となり余裕がなかったかもしれません」

 -授業時間は確保できたましたか。

 「西原小は再度の休校に備え、『モジュール授業』を行いました。朝の学習(15分)3回分で1こまとしています」

 -新学習指導要領が実施され「主体的・対話的で深い学び」が重視されました。

 「密を避けるため、グループ活動が少なくなるなど学び合いが困難になりました。しかし、思考力、判断力、表現力、学びに向かう力は、集団の中でいろいろな考えや活動を通して身に付くものです。学び合いの時間を必要最小限に絞ったり、グループの人数を減らしたりするなど工夫しながら指導しました」

 -小学校は地域とのつながりが深く、大勢のボランティアが授業や行事に関わっています。

 「ボランティアには高齢者が多く、コロナ禍で依頼することができませんでした。しかし、児童の安全のために地域とのつながりは必要なので、工夫してできるようにしたいです」

 -新年度の課題は。

 「GIGAスクール構想で、新しい時代の学びを支える学校教育の環境が整います。しかし、学校、家庭、教職員の研修などで、全県的に格差がないようにしたいです。校長会として、県に働き掛けています」