家は一生に一度の買い物と言われる。購入を検討する人にとって国土交通省が毎年3月に発表する公示地価は、気になる指針だろう▼今年は新型コロナウイルス感染拡大が不動産取引を停滞させ、県全体で下落基調が強まった。観光地、歓楽街で目立ち、2019年10月の台風19号で被害を受けた栃木市などは、土地取引への影響が浮き彫りになった▼住宅地は、需要が堅調だったJR宇都宮線沿いの小山市が前年の上昇から、下野市は横ばいから下落に転じた。その一方、宇都宮市は平均変動率が0・1%と小幅ながら、県内25市町の中では唯一のプラスを維持。4年連続で上昇し、踏みとどまった▼背景について市内の不動産業者は「JR宇都宮駅東地区で進む再開発や次世代型路面電車(LRT)の整備の影響に尽きる」と話す。確かに県内住宅地の上昇率上位5地点は駅東地区が占めている。LRTの開業を見越して相場より高い土地取引もあるという▼地方の主要都市である札幌、仙台、福岡市では再開発による上昇が続いている。もし、宇都宮市で新たな街づくりが進んでいなければ、下落していたかもしれない▼人口減少が進み、公共交通や病院など社会インフラ整備に伴う暮らしやすさが、より重要視される。とはいえ手頃な価格のままで、というのが庶民の願いである。