1カ月の残業が約378時間という超超過勤務には驚いた。1日当たり約12時間、家に帰る暇もないだろう。政府が明らかにした内閣官房の新型コロナウイルス感染症対策推進室の今年1月の勤務実態だ▼約100人の職員平均でも約122時間。100時間とされる「過労死ライン」を超えている。もちろん新型コロナという危機事態によるものだろう。ただ、霞が関官僚の超長時間労働はそれ以前からだ▼2019年に44歳で厚生労働省を辞めた千正康裕(せんしょう・やすひろ)さんは著書「ブラック霞が関」(新潮新書)で、朝7時に自宅で資料を作って上司に送り、9時に出勤、役所を出るのは翌日の午前3時20分という若手官僚の1日を紹介している▼千正さんが問題視するのは、その仕事の中身だ。大臣の記者会見の資料作成や国会議員への説明などに追われ、政策をつくるという本来の仕事に取り組む時間がないという。国民のために働きたいと志を持って官僚になっても、現実は異なる▼政府が今の国会に提出した重要法案に誤字など多くのミスが見つかった。ある総務省OBは「官僚の士気の低下が、仕事のいいかげんさの背景にある」と懸念する▼官僚は国民のために働く公僕だ。志を持って仕事に取り組める環境を政治家や各省の幹部がつくらなければ国の土台が揺らぐことになりかねない。