東武鉄道東武日光駅周辺。コロナ禍が観光地の地価にも影響を与えている=3月中旬、日光市

2021年の県内公示地価

東武鉄道東武日光駅周辺。コロナ禍が観光地の地価にも影響を与えている=3月中旬、日光市 2021年の県内公示地価

 新型コロナウイルスの感染拡大は、23日に発表された県内の公示地価にも大きく影響した。住宅を含め不動産取引の停滞が見られたほか、近年のインバウンド(訪日外国人客)の増加で地価が上昇傾向にあった観光地では、横ばいとなった。温泉街でも観光客の減少に伴い下落幅が拡大した。不動産関係者からは「先行きは不透明で、さらなる下押しの懸念は拭えない」との声も出ている。

 日光市の東武鉄道東武日光駅付近や世界遺産二社一寺へと続く日光街道。近年はインバウンド効果により、標準地の地価は上昇傾向だった。しかし今回はコロナ禍が冷や水を浴びせ、横ばいとなった。

 同市内のある不動産業者は「日光市内で土地を探してホテルを開業しようという事業者の計画がストップしている」とコロナ禍の影響を話す。訪日客らの宿泊のための民泊も問い合わせがなくなったという。

 「店をやりたいという人がいない。商業地は苦戦している。ただ、本格的な影響はこれからだと思う」と危惧する。

 鬼怒川や塩原の温泉街でも観光客減などの影響で、縮小傾向だった下落幅が拡大した格好。

 コロナ禍で住宅地の需要減があったほか、工業地も下落基調となった。感染症が地価に影響を与えた今回の事態について、2021年地価公示代表幹事の永井正義(ながいまさよし)不動産鑑定士は「過去にない。先行きが不透明な中で取引が停滞した。買い手側も慎重になった。今後も当面の間は不動産価格に影響を与えるだろう」と分析する。

 19年10月の台風19号の影響も消えていない。足利や栃木市などの被災地域の住宅地では下落幅は縮んだものの、地価は下がっており、需要の低迷は続く。永井氏は「水害の心理的影響がまだ残っているのではないか」とみている。