県立博物館で28日まで開催中の企画展「ちょっとディープな日光の自然ガイド」は、日光の自然の魅力を知ってもらうのが狙い▼会場入り口では、奥日光に生息する動物の剥製20体以上が出迎えてくれる。展示を見ていると現地を訪ねたい思いに駆られる。気になったのは「ニホンジカの増加によって起こった自然環境の変化とその対策」のコーナーだ▼戦場ケ原や小田代原などの湿原・草原、白根山山頂近くなどで多くの草花が、林内ではササがシカに食べられて激減。また、種から芽生えた幼い木が食べられ、森を構成する樹木が世代交代できなくなる現状などが紹介されている▼環境省が植生保護のため、二つの湿原を囲むように全長17キロのシカ侵入防止柵を設置して今年で20年になる。柵内では植生が回復傾向にあるが、柵外は生息密度が高く、シカが好まない植物が増加するなど影響は続いている▼栃木・群馬県境から福島県南会津地方にかけて1万頭を超えるシカの「個体群」が存在。日光地域に生息するシカの一部は春から秋にかけて尾瀬国立公園に季節移動し、尾瀬ケ原などの湿原植生や高山植物にも深刻な影響を及ぼしている▼シカの増加は、温暖化による積雪の減少で、餓死するといった自然の調節がなくなったことが要因とされる。防止柵の役目は当分終わらない。