県内過去3季と今季のインフル患者数の推移

 今季、栃木県内でインフルエンザの感染が一度も流行の水準に達していない。県によると、現在の形式で統計を取り始めた1999年以降で初めての状況だ。新型コロナウイルス対策が激減の一因と考えられているが、専門家は「ここまで極端に減ったとなると明確な理由は分からない。来季以降、盛り返す可能性もある」と注意を呼び掛ける。

 「少なくなると予想はしていたが、ここまでとは思わなかった」

 「増山内科小児科クリニック」(宇都宮市平松本町)の増山哲茂(ますやまあきしげ)院長(66)は、開業して30年で初の事態に驚きを隠せない。多いと1週間で患者が100人を超える年もあるが、今季はゼロ。「一般的な風邪の患者も減っている。コロナ対策が感染症全般に効いたのではないか」と話す。

 インフルエンザの流行状況は、定点に指定された県内76の医療機関が毎週報告する感染者数で判断される。1週間平均で1人を超えると、流行入りとなる。

 今季は、2020年10月~21年2月末までの22週で、患者の報告数は13人。各週平均では四捨五入して0.1人にも満たない「0.0」が続く。県内では19年1月21~27日の週に過去最多の67人を記録している。

 インフルエンザの感染経路は、新型コロナと同じ飛沫(ひまつ)や接触のため、県健康増進課は、手洗いやマスク着用の徹底、県民の行動制限、三密の回避などを感染者減少の要因に挙げる。

 自治医大付属病院感染制御部の森澤雄司(もりさわゆうじ)部長(54)は「それだけでは説明がつかないほど減っている」と付け加える。現段階では新型コロナとインフルエンザのどちらの感染力が強いか判明していない。毒性が弱かった09年流行の新型インフルエンザを引き合いに、本来インフルエンザの方が感染力が強い可能性もあるという。

 新しいウイルスが出現すると、それまではやっていたウイルスの感染が抑制される現象も確認されているが、明確な根拠は分かっていない。「インフルエンザ感染がこのまま極端に減少し続けるとは考えにくい」と指摘した。