補助金の交付を受けて購入した製麺機で作業する蕪木社長(右)=9日、宇都宮市

 2019年10月の台風19号で被災し、さらに新型コロナウイルスの感染拡大で売り上げが激減している松崎屋製麺所(宇都宮市大通り5丁目、蕪木陸(かぶらぎりく)社長)が新たな事業展開を模索している。売り上げの9割を占める業務用の受注が落ち込む中、店内に直売スペースを設け、個人客の掘り起こしを図る。

 19年の台風19号で近くを流れる田川が氾濫した。工場内に濁流が押し寄せ、泥をかき出す作業などに追われた。1946年の創業当時から使用する製麺機は、モーターを交換すれば動いたが、歯車のかみ合わせなどで不都合が生じていた。

 「だましだまし使い続けるのも限界だった」と蕪木社長。中小企業の設備、施設の復旧を支援する県のグループ補助金を活用して製麺機を買い替えた。

 売り上げの7割は同市内を中心とする飲食店向け。取引先の数こそ減らなかったが、新型コロナによる営業時間の短縮や外出自粛の影響で注文が減った。昨年の売上高は例年から半分近く落ち込んだ。

 コロナ前から取引先の飲食店の中には、後継者不足で店を閉める動きも出始めていた。コロナで落ち込んだ需要回復が見通せないこともあり、個人客への販売強化にかじを切った。県の補助金を活用し、工場内に販売スペースを設け、3月中の直売開始を目指している。

 蕪木社長は「コロナが事業の方向性を変えるきっかけになったと前向きに捉えている。将来的には個人向けの売り上げを全体の5割まで引き上げたい」と話している。