増田道明獨協医大教授

 従来株より感染力が強いとされる新型コロナウイルス変異株。本県在住者2人を含め、国内各地で感染者の拡大が相次いでいる。政府は監視体制を強化しているが、未解明な点は多い。獨協医大の増田道明(ますだみちあき)教授(62)=ウイルス学、微生物学=は「ウイルスの変異は必然的な自然現象。過度に恐れず、現状の感染対策を冷静に継続すべきだ」としている。         

 昨年12月以降、英国、南アフリカ、ブラジル、フィリピンなどから変異株の国内流入が確認されている。特に英国株は従来の流行株に比べて感染力は1・7倍、致死率は2倍近いとの見解もある。増田教授は「信頼度の高い学術誌で示されたデータであり、重く受け止めて警戒すべきだ」と指摘する。一方で、「『3密』の回避やマスク着用など、現状の感染対策で対応できるはずであり、今後の動向を冷静に見極める必要がある」と強調する。

 そもそもウイルスの変異や流行株の置き換わりは、コロナ禍の初期から国内でも繰り返されてきたという。国立感染症研究所が公開したデータに基づき、「最初の武漢株に取って代わった欧州由来の株が昨春の流行『第1波』の主体となった。夏場の『第2波』は欧州株が国内で変異したもの、秋からの『第3波』は国内で生じたさらに別の変異型欧州株が主体になった」と振り返る。

 現在、国内で感染が確認された海外由来変異株の9割超は英国型が占める。理由について「英国株の感染力の強さを反映している可能性がある。ウイルスの世代交代は速いので、他の株より感染力がわずかに強いだけでも、すぐに大きな差となって表れる」。今後の予測については、「コウモリ由来とされる新型コロナウイルスは、人間という新たな宿主に適応するため進化している最中。ヒトコロナウイルスとして落ち着くまで、さまざまな変異ウイルスが出現して流行の主体になることを想定する必要がある」と説明する。

 過去の感染症の流行事例などに照らし、「ウイルスは変異を重ねながら弱毒化(病原性の低下)に向かうこともまれではなく、変異イコール悪とは限らない」との見方を示す。また県内では全国的にも珍しい、ウイルスの変異を精密にチェックする「ゲノム解析検査」を官民で行う体制づくりが進められていると明かし、「変異の兆候をいち早く捉える試みは、今後の感染対策の戦略を構築する上で非常に重要だ」と語った。