「カラスという鳥は面白い」と話す塚原さん

 カラスの鳴き声を18年にわたって研究し続け、その成果を全国のカラス被害対策に役立てている栃木県宇都宮市石井町の塚原直樹(つかはらなおき)さん(41)が、新書「カラスをだます」を出版した。カラスとの真剣勝負を繰り広げた半生をユーモアたっぷりの文章でまとめた。塚原さんは「カラスだけに“苦労”ばかりだが、相手を知ることが共存するための第一歩」と話している。

 塚原さんは宇都宮大農学部卒。2017年12月にカラス対策を専門とする会社「CrowLab(クロウラボ)」を創業した。ふん害や食害に悩む自治体や企業、農家の依頼を受け、被害防止のコンサルティングや製品開発に取り組む。

 「カラスが何を話しているかの研究はない」。同大名誉教授で「カラス博士」として知られる杉田昭栄(すぎたしょうえい)さんの一言で人生が決まったという塚原さん。これまでに収録した鳴き声は数万に及び、対策にはさまざまな鳴き声でコミュニケーションを取るカラスの習性を生かす。例えば「何だ、あれ」「やばい」「逃げろ」。それぞれの意味合いを持つ鳴き声を順序立てて流し、カラスの群れを誘導する方法が代表的だ。

 新書では、山形市役所周辺で繰り広げた数百羽の大誘導作戦の舞台裏をはじめ、カラスの知られざる生態や科学的な追い払い方などを豊富な事例を基に解説している。

 鳴き声に加えて研究を続けるカラス料理のレシピ集「本当に美味しいカラス料理の本」に続く2作目で、肉をおいしく食べる試行錯誤の道のりなどもコミカルにつづられている。

 塚原さんは「人間とカラスは生活圏が重なり、すっきりと分けることはできない。カラスは悪者になりやすいが、カラスの目線になり、人もごみ出しのルールを守るなど生活に気を付けることが、うまく共存していく近道になる」と話す。

 NHK出版新書刊、935円。