遺族の手記、運転教本に 次男失った栃木の楠野さん 栃木県内でも配布へ

 2001年4月に交通事故で次男を失った栃木市、楠野祇晴(くすのまさはる)さんの手記が7日までに、車の安全運転の教本に掲載された。今春から県内外で運転免許の更新時にドライバーへ配布される。出版元によると、県内での配布数は1年間で約25万部に上るという。「あの日の朝から泣くことをおぼえた」。手記には事故後の心境などがつづられている。7日は17回目の命日。楠野さんは「多くの人の中で息子が生かされる」と受け止めている。

 次男の敦司(あつし)さんは01年4月7日朝、栃木市(旧大平町)の県道交差点をオートバイで直進中、右折してきた大型トラックと衝突し死亡した。22歳だった。

 「家族の幸せを根こそぎ崩されようとは想像すらしていませんでした」。楠野さんの手記が掲載されたのは札幌市の出版社が発行した安全運転の教本。A5判約130ページで、手記は表紙の裏側に掲載された。

 同社が教本に載せる手記を探していたところ、被害者支援センターとちぎが毎年発行する事件事故遺族の手記集「証」を知った。昨年5月、同センターから過去に発行した約10冊を送ってもらい、その中から12年度の証に載った楠野さんの文章を選んだという。

 手記には事故後の悲痛な思いや日々が描かれている。「絶望からの苦しみ怒り哀しみは日に何度も襲い、泣いて過ごす毎日でした」。人と会うことを絶ち、食事の味も分からなかったという。「死を断じて受け入れられず、敦司に関することで体を動かしていれば、ご褒美に必ず戻ってくるはずだと本気で思っていました」と率直な思いがつづられている。