火災を振り返る大美賀消防長(右)と塚越中央消防署長

 【足利】西宮町の両崖山で2月21日に発生した山林火災は3月15日、鎮火宣言が出された。地形や気象の厳しい条件下でホースを延ばし地上消火に当たった市消防本部・市消防団。陣頭指揮を執った大美賀裕(おおみかゆたか)消防長、塚越孝一(つかごしこういち)中央消防署長に苦労を聞いた。

 -3週間余りの活動を終えたが。

 大美賀消防長「広範囲に延焼して人家に迫り、42年の消防人生で最も神経を使った。地上部隊の消火栓取水量は約4千トンを超える。住居被害やけが人も出さず県内外の応援隊をはじめ職員、団員の頑張りにお礼を申し上げたい」

 -急勾配の山肌にホースを張り巡らせた。

 塚越署長「近隣消防から借りたものも含め20メートルを約350本、総延長7キロつないだ。日頃から非番の職員が山に登って地形を研究しており、ホースさえ届けば的確に消火できる」

 -大変だった局面は。

 大美賀消防長「発生3、4日目。山頂南西の岩場に残っていた火種が巻くような強風を受けて広がった。立っていられないほどの風に翻弄(ほんろう)され、撤退を繰り返した」

 塚越署長「防衛線を張っても風で飛び火する。堆積物の下層で根伝いに広がる火は掘って消し、頭上の枝先の火はチェーンソーで木を切り倒しながら消した」

 -自衛隊ヘリコプターも鎮圧までに約1995トンの水をまいた。

 大美賀消防長「一度に5トンの水を落とし岩場などに有効だった。ただその威力から建造物や住家付近は散水できず地上隊員も待避が必要で活動が中断する。山際に民家が多いのも足利の特徴で連携が難しかった」

 -要請のタイミングを巡って議論もある。

 大美賀消防長「同じ発生時刻だった2019年の名草地区の山林火災と比べても要請は3時間早く手順を踏んだ上で最短だった。ただ遅いとの指摘はあり真摯(しんし)に受け止めて検証したい」

 -足利では山林火災が多い。

 大美賀消防長「低山が多くハイカーがよく入る。住民がごみを燃やすことも原因になる。管内は今年1月以降4件の山火事が発生し、例年より多い。4、5月は入山者も増える。火を出さないための啓発活動にも力を入れたい」