アルコール依存症者の飲酒は「人に癒やされず、生きにくさを抱えた人の孤独な自己治療」なのだという。不安な日々が続く新型コロナウイルス禍で、酒に逃げ場を求める人が増えるのは想像に難くない▼依存症は病気なので治せるが、専門医療機関の少なさや偏見が壁となり、実際に受診しているのはほんの一部。自助グループにつながっている人はさらに少ないと、県断酒ホトトギス会が動画配信した研修会で講師が語っていた▼依存症の人たちでつくる同会は普段から、飲酒で苦しむ人を救おうと相談を受け付けているが、最近はオンライン相談も始めた。会員同士で近況を語り断酒継続の励みとする例会には、ビデオ会議システムを導入した▼ITに強い人の集まりではない。それでも、コロナ禍で交流が制約される中、でき得る限りハードルを下げてSOSを待つ▼会の名称は、徳川家康(とくがわいえやす)の性格を句で表した「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」から取った。家族や医者が責めたりきつく治療を迫ったりしても逆効果だから、本人がその気になるまで辛抱強く説得し、待ち続ける▼活動の原動力になっているのは「仲間がいるからこそ今の自分がある」という思い。コロナ禍に必ず終わりが来るように、意志次第で依存症から抜け出すことができる。支え合える仲間がいる。