2021年版「ミニ統一地方選」のトップを切る佐野市長選は4月4日に告示、同11日に投開票される。過去2回の無投票を経た12年ぶりの選挙戦となり、5選を目指す現職のほか3人の新人が名乗りを上げる。新型コロナウイルス禍の前哨戦を追った。

佐野市の転出超過の推移

 ほかの県内市町と同様、人口流出は佐野市にとっても大きな課題だ。特に女性の転出超過が著しく、2019年は前年比69%増の216人で、男性84人の2.5倍以上となった。「その中でも20代女性の割合が際立つ」と市市民課は分析する。

 「生活や仕事の多様性への憧れが東京圏への転出を後押ししている」「結婚や子育て支援が足りない」-。2月25、26の両日行われた市議会一般質問でも、この問題に対する質問が相次いだ。市執行部は現時点で考えられる支援政策を示しながらも「これだけでは、若者の多様なニーズに応えているとまでは言えない」と、苦しい答弁に追われた。

     ◇

 4月4日告示される市長選に立候補を表明した4人も、人口問題への対応を重要施策の一つに位置付ける。5選を目指す現職の岡部正英(おかべまさひで)氏(82)は出産特別給付金(5万円)の継続や高校3年生までの医療費無償化などを掲げる。後援会幹部は「出産・子育て環境を良くすることは若者の定住促進につながる。今できる支援を息長く更新、拡充することが肝要」と解説する。

 同様に出産・子育て支援を重視する市議の井川克彦(いがわかつひこ)氏(63)は「産院が少ないことが出産への不安を増長する。安心して産み育てる環境が必要」と、医療体制の充実の必要性を強調する。

 行政書士の高際弘幸(たかぎわひろゆき)氏(64)は防衛省勤務の経験を持つ。「主な人口流出先となる東京圏は津波など防災面に不安がある。安全安心な子育て環境を佐野で早急に整備すべきだ」と持論を展開する。

 一方、元県議の金子裕(かねこゆたか)氏(58)はキャリア教育の充実と就職支援を挙げ、「地元に残る意志を育てる環境を整えることが大切だ」と独自の視点からの取り組みを訴える。

     ◇

 市内では19年に子育てなどをテーマにした日本女性会議が計画された。台風19号のため直前で中止の決断を余儀なくされたが、会議開催に向けた企画、研究が女性の社会進出の機運を高める契機になったとされる。

 実行委員会で運営委員を務めたイラストレーター小菅慶子(こすげけいこ)さん(35)=同市葛生西2丁目=は今回の選挙にも高い関心を示す。「働く女性のためには地域で子育てを行える体制整備が必要。佐野市に住み続けたいと確信できる政策を見極めなくては」とそれぞれの訴えの核心に注目していく考えだ。