2021年版「ミニ統一地方選」のトップを切る佐野市長選は4月4日に告示、同11日に投開票される。過去2回の無投票を経た12年ぶりの選挙戦となり、5選を目指す現職のほか3人の新人が名乗りを上げる。新型コロナウイルス禍の前哨戦を追った。

立候補を表明している4氏。右上から時計回りに岡部氏、高際氏、井川氏、金子氏

 小山市長選、知事選、宇都宮市長選-。県内はこの1年、「多選の是非」が争点となる選挙が相次いだ。告示まで1カ月を切った佐野市長選もまた、同様の構図が予想される。

 「このような状況は、コロナ禍や災害が相次ぎ平時ではないこと、先が読めない時代であることも背景にあるといえるのではないか」。地方自治に詳しい宇都宮大地域デザイン科学部の中村祐司(なかむらゆうじ)教授はこうみる。

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 先月14日、5選を目指す現職岡部正英(おかべまさひで)氏(82)の後援会が佐野市堀米町の大通り沿いに、他陣営に先駆け事務所を構えた。集まった支持者たちの目を引いたのは、ガラス張りの正面に大きく掲げられたスローガンだ。赤地に「佐野を守り抜く」とある。

 後援会幹部は「一昨年の台風19号の際、いち早く自衛隊の出動を求め救助活動を開始できたのは、これまで培った人脈や経験があったからこそ。未曽有の危機を乗り越えるにはこれらの財産が必要」と訴える。

 一方、「多選は市政を硬直化させる」と出馬を表明した市議井川克彦(いがわかつひこ)氏(63)の後援会は6日、同町の東産業道路沿いに事務所を開設。役員らが次々とマイクを握り「佐野に新しい風を」と気勢を上げた。草の根運動を展開する行政書士の高際弘幸(たかぎわひろゆき)氏(64)も「多選はNO」「佐野を変えよう」と主張を続ける。多選の弊害の訴えが現職の6選を阻止した小山市長選の再来をもくろむ。

 最年少の元県議金子裕(かねこゆたか)氏(58)は唯一の50代。自身はあえて多選批判を避けているものの、支持者の多くは「佐野の将来のためには世代交代は不可欠。20年、30年後を見据えた戦いだ」と声をそろえる。

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 12年ぶりの選挙戦に向け、各陣営はホームページなどで政策の発信に余念がない。ただ、明確な争点は浮かび上がっていないのも事実だ。自民党佐野支部の関係者は「4人全員が自民党系なので考えの根の部分に違いはない。しかも新人3人のうち2人が現市政を評価していることから、政策論争がかすみがちなのではないか。コロナ禍の影響で集会なども開けず、投票率にも影響しそうだ」と危惧する。

 今後の選挙戦のポイントについて、中村教授はこう指摘する。「コロナ収束後もテレワークなどで生活は一変する。現職、新人を問わず、いかに思い切った変革を打ち出せるかに注目したい。有権者の眼力も問われることになる」