益子町が茨城県笠間市と共同申請し認定された日本遺産「かさましこ ~兄弟産地が紡ぐ“焼き物語”~」。ストーリーの主要な構成文化財とともに、地域資源の魅力などを紹介する。

ギャラリーつかもとでは益子町文化財の「白釉象嵌縄文大皿」(1957年、右)などが展示されている

 見つめると引き込まれるような感覚を覚える精巧な文様。人間国宝の陶芸家島岡達三(しまおかたつぞう)さん(1919~2007年)が編み出した「縄文象嵌(じょうもんぞうがん)」だ。固まる前の素地に組みひもを転がして凹凸を付け、化粧土を塗った後に表面を削って模様を浮かび上がらせる。益子のギャラリーつかもとには、そうした作品が複数展示されている。

Web写真館に別カットの写真

 養子になった孫の陶芸家島岡桂(けい)さん(43)は「たくさんの文様を施し、作品と調和した個性がある」と説明する。

 島岡達三さんは師匠の人間国宝濱田庄司(はまだしょうじ)から「自分の仕事を見つけなさい」と教えられた。1950年に土器の標本作りを手伝ったことや父が組みひも師だったことなどをきっかけに生み出した独自技法を生涯にわたって追究した。

 益子陶芸美術館の川北裕子(かわきたゆうこ)学芸員は「同じ技法を一貫して追究することで生まれる美しさがある。益子や笠間の作家もその姿勢から得られるものがある」と語る。

 メモ ギャラリーつかもとは益子町益子4264。午前10時~午後5時(変更の場合あり)。木曜定休。(問)0285・72・6634。

 ミニ知識 島岡達三さんは東京都芝区(現在の港区)生まれ。19歳の時に日本民藝館を見学したことをきっかけとして、東京工業大窯業学科入学後に濱田庄司を訪ねた。卒業後、太平洋戦争でビルマ(現ミャンマー)出征を経て濱田の門下生となり、34歳で独立。1996年、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。