東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から11日で10年。構内の除染や線量低減が進む一方、溶融核燃料(デブリ)の取り出し、汚染水対策といった難題が依然立ちはだかり、手探りの廃炉作業が続く。公益社団法人日本記者クラブ(東京)の取材団の一員として5日、原発構内に入り、10年で変わったもの、変わらないものを見た。

福島第1原発の南側を埋め尽くす処理水タンク=5日午後、福島県大熊町(代表撮影)

 第1原発の南側を占領する無数のタンクの群れ。整然と並ぶ様子が、異様さを際立たせている。

 タンクは、原子炉建屋で生まれた汚染水を浄化した後の処理水などをためる。容量は1基1千~1300トン。高さは約10メートル。間近で見るとかなり迫力がある。

 汚染水の大もとは、1~3号機の炉心溶融によって溶け落ちた核燃料(デブリ)を冷やすために注がれる水だ。建屋に流れ込む地下水がデブリと触れることでも生み出される。

 汚染水はセシウムやストロンチウム、トリチウムなどの放射性物質を含み、濃度が高い。そのため多核種除去設備(ALPS)などの浄化設備に通し、トリチウム以外を取り除いた状態にしている。

 事故後、汚染水は1日500トン前後発生したが、今では140トンまで減少。塩分を取り除く淡水化装置などでデブリの冷却水を処理して循環利用するほか、地下水のくみ上げや遮水壁の設置などで抑えたという。

 ただデブリの取り出しなどの作業が終わるまで、汚染水が発生し続ける状況は変わらない。

 1061基(約137万トン分)のタンクは2022年秋以降、満杯になる見通しだが、タンクを増設する敷地は残っていない。タンクのあるエリアは、使用済み燃料やデブリの一時保管にも使われるという。政府は、処理水の処分方法の早期決定を迫られている。

 トリチウムの放射能は微弱で「食品用のラップで遮れる」(東電担当者)。化学的性質は水素と同じで、体内に取り込んでもすぐに排出される。そのため政府は処理水の海洋放出を検討している。環境中に放出してもよいとされる法令の基準値をさらに下回るよう、水で薄める方針という。

 一方、10年前の事故で原発の安全神話が崩れ去った今、風評被害を懸念する地元の漁業関係者らの反対は根強く、合意形成への道は険しい。「待ったなし」の処分は宙に浮いている。