午後2時46分、東北方面を向いて手を合わせ犠牲者の冥福と復興を祈る畠山さん

東日本大震災の物故者を慰霊する法要を営む日光山輪王寺の僧侶たち

午後2時46分、東北方面を向いて手を合わせ犠牲者の冥福と復興を祈る畠山さん 東日本大震災の物故者を慰霊する法要を営む日光山輪王寺の僧侶たち

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生から10年となる11日、栃木県北地域の各地で犠牲者の冥福を祈る法要や黙祷(もくとう)、脱原発を訴える市民らの活動、防災訓練などが行われた。

 日光市山内の日光山輪王寺などでは、震災で亡くなった人たちをしのぶ法要が相次いで営まれた。

 輪王寺では震災から1、3、7回忌の年にも慰霊法要を実施。この日は午前8時過ぎ、本堂の「三仏堂」で輪王寺一山の僧侶14人が経を唱え、犠牲者の冥福を祈った。菅原道信(すがはらどうしん)教化部長は「亡くなった方が極楽浄土で一緒に再会するという『倶会一処(くえいっしょ)』の思いで行った」と話す。

 菅原教化部長は震災後、県天台仏教青年会の会長として、仲間らと被災地に赴きボランティア活動をした。「心の傷を負った方にかける言葉の特効薬は持っていなかったが、寄り添うことで、逆に元気をもらった」と振り返った。

 日光市中宮祠にある同寺別院・中禅寺立木観音では、福島第1原発事故発生時に東京電力の社員だった僧侶畠山慈朋(はたけやまじほう)さん(43)が、法要を執り行った。

 「加害者の家族の心境」から自責の念を深め、2013年に退社。償いと救いの思いを胸に15年仏門に入った畠山さん。午後2時46分、境内の波之利(はしり)大黒天堂で東北地方を向いて黙とうをささげると、涙をみせた。「日常を奪われた被災者と一緒に働いていた元同僚の気持ちが一気に押し寄せた」と言う。

 自責の念は消えないが、「今できることは祈ること。少しでも現状が良くなるようお手伝いしたい」と静かに語った。