民話「ちいさな命」を書き、語り続ける鈴木さん。創作のきっかけとなった新聞記事と、収録された「いちかいの民話」=11日午後5時半、市貝町赤羽

 「翔太(しょうた)君のことを忘れないで語ってやることが供養なのかな」。福島県南相馬市で被災し、当時5歳の次男を失った教員斎藤誠(さいとうまこと)さんが11日、追悼式の遺族代表の言葉で触れた市貝町の「民話きじばとの会」。民話を作った同会会長の鈴木勘也(すずきかんや)さん(74)=同町赤羽=は、今も交流が続く斎藤さんを思いやる。

 2014年に新聞の特集記事で斎藤さん家族の悲嘆を知り、「民話で語れないか」と、会員と共に福島県会津若松市の避難先に斎藤さんを訪問。思いを聞き取り、「小さな命」を書いた。それは同年秋、会発足10周年記念で発刊した「いちかいの民話」に収録され、県内各地の図書館に収蔵されている。

 「小さな命」は、被災から1カ月ほど後にがれきの中から見つかった翔太君、2年後に産まれた弟の優太(ゆうた)君と、家族に笑顔を届けた二つの命のこと。「今もしょっちゅう語っている。でも涙がこみ上げちゃう。10年たっても家族に区切りはないでしょう」。鈴木さんはぽつりと話した。