看護助手のアルバイトで病室の掃除や消毒を行う駒場さん

 【大田原】11日に卒業式を迎える国際医療福祉大の4年生ら30人が2月から3月にかけ、グループ病院で看護助手のアルバイトを行っている。新型コロナウイルス禍で逼迫(ひっぱく)する医療現場を支援し、就職先の実情を知ろうと希望した。参加した看護学科4年、駒場幹幾(こまばもとき)さん(22)=宇都宮市徳次郎=は、コロナ禍での実習や学業を乗り越え「面会時間や交流に制限がある今こそ、患者さんにとって看護師の存在は大きい。寄り添う心を大切にしていきたい」と気持ちを高めている。

 駒場さんは今月1~9日の計6日間、就職先の同大病院(那須塩原市)でアルバイトに参加。「家族に疾患者がいるから」と第1希望に選んだ脳神経外科で、病室の消毒や清掃、リネン交換、患者へのお茶入れ、事務作業などを経験した。

 PCR検査を事前に受け、アルバイト期間は欠かさず検温や健康チェックを実施。勤務中は「一行為につき一手洗い」をし、手指消毒を繰り返した。陽性者と直接触れ合う機会はなかったものの、院内の徹底した感染予防対策に「『自分の身を守りながら患者も守る』という緊張感、責任の大きさを実感した」という。

 学生最後の1年は、前期は授業がオンライン形式となり通学さえできず、団長を務めていた「よさこいチーム」の演舞披露の場であった5月の運動会も中止。一変した大学生活に、頭には常に「無事に次へ進めるのか」という不安があった。さらに「『感染リスクと隣り合わせの職業』を選ぶことへの恐れも、ゼロではなかった」という。

 それでも「夢」を追う気持ちはぶれなかった。中学1年生の夏休み中、膝の手術のため数週間入院した病院で、毎日力強く励ましてくれた男性看護師の姿が心に残っている。「自分も、患者さんの心のよりどころになりたい」。その思いが背中を押し続けた。

 4月から医療現場の第一線に立つ。「生まれ育った県で、医療を通して地域に貢献できることがうれしい」。言葉に力がこもった。