地区防災計画策定のため研修会を行う那須烏山市の向田・落合地区の住民ら=昨年8月、那須烏山市

 災害発生時などに地域住民の防災活動の指針となる「地区防災計画」が、栃木県の地区防災計画策定促進事業(2019、20年度)によって24市町で策定されたことが6日までに、県のまとめで分かった。一方で、自治会や学区単位などの計画策定はほとんど進んでいない。東日本大震災の発生から10年を迎え、地域防災力の向上は必須。県は今後も防災士派遣費用の補助などで、地域住民による計画策定をサポートしていく考えだ。

◇東日本大震災10年特集

 地区防災計画は地域コミュニティーを活性化させ、災害による被害の軽減や迅速な復興につなげることが狙い。住民自身が、地盤が緩い場所など地域の危険箇所や高齢者、障害者などの生活状況を把握し、実態に合った計画を作ることが重視されている。

 県消防防災課によると、18年度末時点で計画策定に取り組んでいたのは、自主防災組織結成時に市が計画の作成協力などを支援した大田原市(110地区)のほか、壬生町(1地区)、野木町(5地区)の3市町のみだったという。そこで県は19年度、同事業に着手した。各市町が水害や土砂災害発生の可能性がある地区を選定した「モデル地区」に、NPO法人県防災士会から指導役の防災士を派遣。住民自ら災害図上訓練や危険箇所の調査などを行い、地区の特徴に合った計画をまとめていった。

 モデル地区は19年の台風19号で被害を受けた那須烏山市の向田・落合地区や鹿沼市の加蘇地区など実際の被災地域のほか、下野市のダイアパレス自主防災会のようにマンション群を指定した市町もあった。

 同事業で24市町のモデル地区が計画を策定したが、足利市は事業参加者の新型コロナウイルス感染防止を考慮して本年度中は断念。新年度の策定を目指す。

 県は新年度以降も防災士を派遣する費用を一部補助する方針。モデル事業の計画をまとめた事例集を市町へ提供することも検討しており、自治会や学区単位での計画策定を促す。

 同課地域防災担当の池田弘司(いけだひろし)副主幹(46)は「台風19号での経験や東日本大震災から10年という節目を機に、地区防災計画策定の機運は高まっている。今後は市町と連携しながらモデル地区以外での策定を後押ししたい」と話した。